「相続税対策」を優先してしまうとどうなるのか?

相続対策ではまず遺産分割対策、次に納税資金対策が重要です。相続税額を抑える「相続税対策」はその後の話です。

相続対策とは?

  1. 遺産分割対策
  2. 納税資金対策
  3. 相続税対策

では、遺産分割対策、納税資金対策をせずに、相続税対策をすると、どのような結果になるでしょうか。
相続税対策の王道は、不動産による相続税評価額の引き下げです。不動産の相続税評価額が時価より約30%低めに設定されていることを利用した手法です。


ところが、不動産というのは分けにくい財産であるため、遺産分割のときにもめる原因となります。特に入居率が悪かったり利回りが低い賃貸物件は、売れたとしてもかなり売り叩かれてしまいますから、どの相続人も欲しがりません。

そして、不動産は流動性が低く、簡単に売ることができません。特に不動産市況が悪化しているときには、いくら安くしようが全く買い手が現れないということも決して珍しくありません。


こうなると、納税資金が確保できなくなってしまいます。


つまりせっかくキャッシュのままで持っていれば良かったものを、無理に不動産に置き換えて「(3)相続税対策」をすることで、逆に「(1)遺産分割対策」や「(2)納税資金対策」に支障をおよぼしてしまうのです。

相続税対策をする際は、本当にその対策が必要なのか、対策の結果、遺産分割や納税資金に支障がおよばないかなどよく考えて実行するようにしてください。