自分が亡くなったら持っている株はどうなる?相続対策の方法を解説

株式投資が好きで、結構なお金を投資している。

もう60歳も過ぎたが、もし自分が死んでしまったらこの株は一体どうなるんだろう?

現金のように単純ではないだろうし、一体どうなるのかを知っておきたい。

そして、万が一のことがあったら残された家族に迷惑はかけたくない。

そのような考えをお持ちの方の為に、

『相続が起こったら株式はどうなるのか?そして、何をしておくべきなのか?』

ということをこのページにまとめました。

このページの内容を読めば、株を持っている場合の相続対策の方法がわかるようになっていますので、ぜひ参考にして頂ければと思います。

1.相続が起こったら株はどうなるの?

まず最初に、相続が起こったら持っている株はどうなるのかを見ていきましょう。

相続が起こった場合、持っている株は相続財産として相続人に引き継がれます。

この時、株は株のまま相続されることになります。

そして、株を相続する為には同じ証券会社の口座が必要です。

亡くなった方の証券口座の中で株を売って現金化して、その現金を分けるという訳ではないので注意してください。

同じ証券会社の口座があると株式を相続できる

なので、株式を相続する可能性のある人には同じ証券会社の口座を予め開設しておいてもらうとスムーズです。

また、相続の時に株はどれくらいの価値で評価されるのかということですが、次の4つのうちから最も低いものを選ぶことが可能です

1:相続が起こった日の終値

2:相続が起こった月の毎日の最終価格の平均額

3:相続が起こった月の前月の毎日の最終価格の平均額

4:相続が起こった月の前月の毎日の最終価格の平均額

株の場合は、現金の相続と違い過去に遡って最も有利な評価額を使うことができます。

ここが、現金と違うポイントですね。

2.タイミングをコントロールできないことに注意

これだけを見ると、

「評価額を当日、当月、前月、前々月から選べるなら、現金よりも有利じゃないか!」

と思うかもしれませんが、注意が必要です。

もし、持っている株が相続が起こる前まで高騰していて、相続が起こった翌月に暴落したらどうでしょうか?

株を相続した人は、価値が低くなった株を相続しますが、評価額は高いままなのでそれだけ相続税が高くなってしまうのです。

相続が起きた翌月にリーマンショックやコロナショックのようなことが起きれば、非常に不利になってしまいます。

相続が起こる時期というのはコントロールすることができません。

なので、このようなことが起こらないかどうかは完全に運任せになってしまいます。

また、株を相続する人に株式の知識がない場合、扱いに困ってしまうことも多いです。

株式を保有したまま相続が起こった場合、このようなリスクがあることを覚えておきましょう。

3.贈与を使うことでタイミングをコントロールできる

相続財産を受け取る人にとっては、株を相続できても、評価だけが高くて目減りした状態では受け取りたくありませんよね。

しかし、このような事態に陥らない為の方法があります。

それは、贈与を活用する方法です。

同じ証券会社に口座を持っていれば、株の贈与を行うことができます。

株を贈与する場合、相続と同じ様に次の4つのうちから最も有利な評価方法を1つ選ぶことが可能です。

1:贈与をした日の終値

2:贈与をした月の毎日の最終価格の平均額

3:贈与をした月の前月の毎日の最終価格の平均額

4:贈与をした月の前々月の毎日の最終価格の平均額

贈与の良いところは、タイミングを選ぶことができることです。

特に、暴落の後に反発をした時が一番のタイミングです。

暴落をした後に反発をした時が一番のタイミング

暴落をした後であれば、最も有利になる期間を選んで評価額を低くしながら価値の高い株を贈与することができます。

4.【損益通算も可能】現金よりも株で贈与した方が有利

上記のような特徴があるので、株を持っている場合は現金に変えるのではなく、株のまま贈与をした方が有利になります。

例えば、1億円の株があり、課税時期の前々月の毎日の最終価格の平均額が6,000万円だった場合、1億円の価値のある資産を6,000万円の評価額で渡すことが可能です。

なので、タイミングが合えば非常に有利に資産を移すことができるのです。

また、株を贈与する際は取得価格も引き継ぐことができ、損益通算が可能です。

もし多額の含み損を抱えた塩漬けの株があり、売らないのであれば子どもにあげることで、子どもがその株と利益の出ている他の株と相殺して損益通算をすることができます。

このような使い方もあるので、ぜひ覚えておいて下さい。

5.注意!贈与の後すぐに売ってはいけない

ただし、株の贈与には注意点があります。

それは、『贈与の後にすぐ売ってはいけない』というルールがあることです。

なぜかというと、例えば手元に1億円の現金があったとしましょう。

この1億円を株に変えます。

そうすると、贈与をする時に

1:贈与をした日の終値

2:贈与をした月の毎日の最終価格の平均額

3:贈与をした月の前月の毎日の最終価格の平均額

4:贈与をした月の前々月の毎日の最終価格の平均額

の中から最も有利なものを選ぶことが可能です。

そして、たまたま前々月の毎日の最終価格の平均額が5,000万円だったとします。

そうすると、1億円の価値のあるものを5,000万円で贈与できることになります。

贈与を受けた人は、その株式をすぐに現金化すれば1億円が手元に残ります。

しかし、贈与税がかかるのは5,000万円分だけです。

現金から株という形にすることで税金を減らすことができてしまうのですが・・・

これは『租税回避行為』となり認められていません。

なので、株の贈与を受けた人がすぐに株を売ることはできないのです。

贈与を行う人(あげる人)が長い間株を保有していた場合でも同様です。

「どれくらいの期間が経てば売っても大丈夫なのか?」

という点に関しては、明確に決まってはいないのが現状です。

詳しくは、株の贈与に詳しい税理士に相談をすると良いでしょう。

6.株式投資を続けるという選択肢 

ここまでで、株の贈与について説明をしていきました。

相続税を減らす、もしくはリスクをコントロールするという意味では、株を贈与するのが有利になります。

しかし・・・

それだけが唯一の選択肢ではありません。

『株式投資を続けて資産を増やす』というのも選択肢の1つです。

株式投資を通じて資産を増やすことができれば、次の世代に渡すことができる資産額も大きくなります。

また、株式投資に生きがいを感じ、続けていきたいということもあるでしょう。

その場合でも、スムーズに株式の相続ができるように、株を受け取る人が予め同じ証券会社の口座を開設しておいてもらうと良いです。

また、相続財産を受け取る相続人に株の知識が全くなく、株として財産を引き継ぐのが適切でない場合は、遺言を使って遺言執行者を定め、例えば

『相続が起こった場合は遺言執行者に株を全部移し、現金化した上で3分の1ずつ分ける』

というように取り決めておくことも可能です。

※遺言執行者とは遺言の内容を実現する為に必要な手続きをする人で、遺言によって定めることができます。遺言執行者は誰でもなることができますが、相続に関する専門知識がある専門家に依頼するのがおすすめです。

このような形を取ることで財産を受け取る相続人が揉めずに済む場合があるので、検討をしても良いでしょう。

7.まとめ

株式を持っている方に相続が起こった場合、どうなるのかを説明しました。

株を持っている場合、相続に備える考え方は2通りあります。

1つは、贈与をして相続税を減らすこと。

そしてもう1つは、株式投資を続けて資産を増やすという考え方です。

一般的な税理士の場合、前者の贈与の方しか勧めてくれないのが普通ですが、私は両方の考えがあっても良いと思っています。

どちらの方向が良いのかは、1人1人の状況によって変わってきますので、このページでお伝えした内容を元にどうするのが良いのかを考えてみてください。

8.具体的な株の相続・贈与の相談をしたい場合

「自分の場合は、持っている株をどうすればいいのか?」

ということを迷っているのなら・・・

相続対策に力を入れており、現役の投資家でもある税理士が相談に乗ります。

贈与をする場合はどのように行うのが良いのかや、株を保有し続ける場合どうすべきかなど、具体的な話をすることが可能です。

初回相談は無料で行っていますので、まずはお気軽にご相談ください。

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